澄んだ水は心地の良い空間を創り出します。
町中を疎通する瀬戸川沿いに立ち並ぶ造り酒屋の白壁土蔵と気持ちよさそうに泳ぐ鯉たち。↑瀬戸川と白壁土蔵↑瀬戸川の鯉
戦国時代の武将、金森可重(かなもりよししげ)が増島城(ますしまじょう)の城主となった時に城下町として整備された飛騨古川(ひだふるかわ)。
その飛騨古川を代表する町並みです。
ここに身を置いけば癒される事、間違いありません。
瀬戸川は可重が町の整備を始めた頃、飛騨古川を訪れた僧、快存上人(かいそんしょうにん)が新田を開発する事を目的に町民の為に水を引く事を可重に提案して造成された用水路です。
このような飛騨古川の町には欠かす事の出来ない重要な行事があります。
毎年4月19日・20日に気多若宮神社(けたわかみやじんじゃ)の例祭として執り行われる古川祭り(ふるかわまつり)です。
この祭りは日本三大裸祭りの一つに数えられ、更に2016年にはユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、日本を代表するお祭りの一つと言っても過言ではないでしょう。↑古川祭り
私も実際に観た事がないので一度観たいのですがなかなか機会に恵まれせん。
しかし、年間を通してその一部を見る事の出来る施設があります。それが飛騨古川まつり会館です。↑飛騨古川まつり会館
では、少しだけ古川祭りに触れてみましょう。
古川祭りは三大行事で構成されています。
一つ目の行事は神社本殿で行われる厳かな神事と各町内を神輿が回る「御神輿行列(おみこしぎょうれつ)」。
二つ目は「起し太鼓」。
直径3尺(約90cm)余りの越し太鼓と呼ばれる大きな太鼓を乗せた櫓が町中を行進。その太鼓をめがけて、付け太鼓と呼ばれる小さな太鼓が突入。付け太鼓は、起し太鼓の櫓の後方の最も近い位置に付けるのが名誉とされ、その名誉を得ようと裸の男たちが入り乱れて熱気を帯びます。
起こし太鼓がいつ頃から始まったのかは定かではないようですが初めて文献に登場するのは、1831年とのことです。↑起し太鼓
そして三つ目が「屋台行列」。
絢爛豪華な9台の屋台が町を巡ります。この屋台とは、いわゆる山車の事。↑屋台
屋台はそれぞれが異なり、中にはからくり人形が備えられた屋台もあります。祭りの最中にはこのからくり人形の巧みな動きや屋台の上で演じられる子供歌舞伎が見どころの一つになっています。
この屋台行列もいつから始まったのかは明確ではありません。
但し、現存する屋台では最古とされる金亀台の名称を持つ屋台の建造が1776年という記録があることから、この頃から屋台が巡行していたのではないかとされているようです。↑屋台
どうですか?
例え、実際の祭りの様子が見られなくても情緒豊かな瀬戸川沿いの風景を見ながら祭りの情景を思い浮かべればかなり満喫できるはずです。
想像力を働かす事は大事ですね。
このように祭りと清らかな川が流れる町が融合しているのが飛騨古川の特徴です。
この特徴は偶然造られたのではなく飛騨古川の町の人々によって造り上げられたと言えます。
1904年に市街地のほぼ全域が焼失するという大火事があったそうです。しかし、その後に建てられた町家は伝統を引き継ぐデザインで建築され、これが基盤となり、その後も瀬戸川に鯉が放流されたり、瀬戸川沿いの壁を住民自ら土蔵や土蔵風に改築・修復したりするなど様々な活動が行われ現在に至っています。
↑瀬戸川と町並み
その総仕上げと言えるのが1992年に会館した飛騨古川まつり会館と言えるかもしれません。
会館の前に広がるまつり広場は起し太鼓のメイン会場。そしてこの広場の脇には瀬戸川の造成を提案した快存上人が住職を勤めた福全寺(ふくぜんじ)が在った場所であり、快存上人の墳墓・上人塚があります。↑まつり広場↑上人塚
瀬戸川沿いに築かれた白壁土蔵の町並みはまつり広場の辺りが起点となっているように見えます。まさに、祭りと清らかな川が流れる町の融合を具現化していると言えます。
余談ですが飛騨古川は近年、新たな融合を成しました。
それはアニメとの融合です。
ご存知の方は多くいらっしゃると思いますが飛騨古川は2016年に公開され大ヒットとなった新海誠監督によるアニメーション映画「君の名は。」の舞台の一部になりました。
アニメや漫画などの熱心なファンの間では自身の好きな著作物などに縁のある土地を巡る事を「聖地巡礼」と呼んでいます。
飛騨古川は「君の名は。」の聖地として訪問客が増加しました。
↑「君の名は。」の舞台となった飛騨古川駅
巡礼とは元々、日常的な生活空間を一時的に離れて、宗教の聖地や聖域に参詣し、聖なるものにより接近しようとする宗教的行動のことを指します。
宗教的行動である町を巡行する古川祭りが飛騨古川を聖地巡礼の町としてアニメ・漫画ファンを呼び寄せたのかもしれませんね。
常に町を何かと融合させながら進化する情緒豊かな町、飛騨古川に是非訪れて下さい!
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