「空にそびえる鉄（くろがね）の城♪」

このフレーズを聞いてピンと来る人はほとんどが1960～70年代生まれの人ではないでしょうか。

マジンガーZの主題歌の歌詞の出だしです。

マジンガーZは人が乗り込んで操縦する巨大なロボットを主人公にしたアニメの先駆けです。そのような視点で見ればガンダムもマジンガーZの延長線上にあると言えるでしょう。

ガンダムはロボットではない、モビルスーツだと言うガンダムファンの意見もあるかも知れませんがそこは大目に見て下さい(^^)

なぜいきなりマジンガーZを登場させたのか？

それは大谷平和観音（おおやへいわかんのん：宇都宮市）を初めて見た時、私の脳裏にマジンガーZの姿が浮かび上がったからです。

↑大谷平和観音

大きな観音様なら他にもあると思いますが、ここの観音様の裏側には階段があり、顔のすぐ横まで行く事が出来ます。

光子力研究所（アニメの中でマジンガーZが製作された研究所）の地下に格納されたマジンガーZを間近に見たとしたらこんな迫力があるんだろーなと感じた次第です。

更に観音様のある大谷公園全体の風景もどことなく巨大な基地のような雰囲気があります。

↑大谷公園

私だけとは思いますが、そんな経緯があって今回の記事はマジンガーZの歌詞から始めさせて頂きました。

大谷平和観音は第二次世界大戦の戦死者を追悼するため、1948年（昭和23年）から6年かけて総手彫りで彫られた高さ26.93メートル、胴回り20メートルの石造観音菩薩立像です。

因みにマジンガーZの身長は18mとされています。

戦死者の方を追悼するための観音様をマジンガーZと一緒にするのは不謹慎な事だとも思いましたがマジンガーZは正義の味方であり平和を守るためのロボットと言う大谷平和観音に共通する部分も持ち合わせている為、対比させて頂きました。今回はどうかお許し下さい。

さて「空にそびえる白磐の城♪」大谷平和観音を見学したらもう一つの観音様に会いに行きましょう！

その観音様とは大谷平和観音のすぐ裏手にある大谷寺（おおやじ）のご本尊である大谷観音です。

 ↑大谷寺

ここの観音様も一見の価値ありです！

と言うのも一般的なお寺のご本尊は仏殿に安置された一体の移動可能な仏像なのですがこのお寺のご本尊である大谷観音（おおやかんのん）は洞穴内に配された仏殿奥の岩肌に直接に彫られた高さ4メートルの千手観音だからです。

↑大谷観音（仏殿内は写真撮影禁止のためパンフレットの写真を撮影したものを掲載させて頂きます）

大谷寺の創建年は明らかになっていませんが空海が810年（弘仁元年）に千手観音を彫り込んでこの寺を開いたとの伝承が残っていることから奈良時代後期から平安時代初期と推測されています。

更に歴史を遡ると大谷寺の洞穴には大谷岩陰遺跡（おおやじいわかげいせき）と呼ばれる古代人の住居跡が残されており同じ場所から約11,000年前の縄文最古とされる人骨が発見されています。

大谷寺境内にある大谷寺宝物館にその人骨は保管されており見学する事が出来ます。

大谷寺は大谷岩陰遺跡と併せて見た時日本屈指の古い歴史を持っていると言うことになりますね。何と言っても11,000年前ですから(^^)

さて、洞穴内には千手観音（大谷観音）以外にも伝釈迦三尊像、伝薬師三尊像、伝阿弥陀三尊像なども彫り込まれておりこれらを総称して大谷磨崖仏（おおやまがいぶつ）と呼びます。

磨崖仏とは自然の岩壁や露岩に直接彫り込まれた仏像を指しますが大谷磨崖仏は大分県臼杵市の臼杵磨崖仏（うすきまがいぶつ）と並んで学術的に非常に価値の高い石仏とされています。

この定義からすると大谷平和観音も磨崖仏と言うことになりますね。

大谷観音と大谷平和観音は直接関係の無い観音様だそうですがどうしてこのような磨崖仏がここに彫られたのでしょうか？

宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材を大谷石（おおやいし）と呼びその分布は東西8km、南北37km、地下200〜300m。その埋蔵量はなんと10億トンと推定されているそうです！

大谷石は軽石凝灰岩の一種で柔らかく加工がしやすい為、古くから建築資材などで使用されて来ました。

大谷平和観音も大谷石の採石場だった場所に彫られています。この地は大きな観音様を彫るのに適した場所だったと言う事ですね。

人の思考も頑固で凝り固まっているより臨機応変に対応出来る柔軟性を持たせた方が視野を広げる事が出来ますよね。

観音様にもなることが出来る大谷石を見習って柔軟な思考回路を持つことに心がけましょう！