インドネシアから伝わった日本の料理に頻繁に使用される食材

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ジャカルタ 体を包み込むその湿度感は日本の梅雨時の感覚を想起させる。

インドネシアの首都ジャカルタの気候はケッペンの気候区分で言うところの熱帯モンスーン気候に属し高温多湿である。気温は最低平均約25℃、最高平均約33℃と一年中ほとんど変わらない。

ジャカルタの首都圏人口は東京に次ぐ世界第二位。屈指のメガシティーだ。

街の中心部には近代的な超高層ビルが青い空に向かって林立し、その裾野には熱帯地方特有の植物が南国の趣を演出している。

01 ジャカルタ

02 ジャカルタ

↑ジャカルタ市内

ところでインドネシアと聞いてナシゴレン(インドネシア風チャーハン)、ミーゴレン(インドネシア風焼きそば)などのインドネシア料理が頭をよぎった人も多いのではなかろうか。

03 ナシゴレン

↑ナシゴレン

04 ミーゴレン

↑ミーゴレン

ナシゴレンの名はコンビニのファミリーマートが「アジアごはん」シリーズとして1990年代後半に発売したのがきっかけでその知名度が高まったそうだ。

ここからは少々汚い話になるので食事中の方にはお許し頂きたい。

美味しいインドネシア料理を食べた後、それは当然のごとく排泄物となり体外へ出て行く。

インドネシアにはこの排泄物を利用した最高級品が存在する。

コピ・ルアクだ。

コピ・ルアクはスマトラ島やジャワ島、スラウェシ島などで作られているコーヒー豆のことであり日本ではルアック・コーヒー,コピー・ルアーク,コピ・ルアックとも呼ばれている。

インドネシアのコーヒー農園ではその果実が野生のジャコウネコの餌として狙われるが、種子つまりコーヒー豆だけは消化されずにそのまま排泄される。それをきれいに洗浄し、よく乾燥させた後、高温で焙煎したものがコピ・ルアクとなる。

世界で最も高価なコーヒーとして知られており私の購入したものも日本円にして50gで3,000円だった。

05 コピ・ルアク コーヒーをあまり飲まない方もインドネシアに訪問した際は話のネタとして是非購入して頂きたい一品である。

さて食文化の話ついでにもう一つインドネシアに関わる食の話をしたい。

現代の日本で日本食の定番とも言える肉ジャガの食材はインドネシアから伝わったものとされている。

もうお気づきだろう。

ジャガイモだ。

ジャガイモは16~17世紀頃にかつてオランダに統治されていたジャカルタを経由して伝来された為、ジャガタライモが訛ってジャガイモと呼ばれるようになったと言うのが諸説ある中の一説である。

余談であるが肉ジャガは明治初頭にイギリスへ留学をした東郷平八郎が現地で食したビーフシチューの味を忘れられず帰国後に艦上食として料理長に作らせたものと言う説がある。

ところでジャカルタの地名だが、以下のような歴史を辿っている。

ジャカルタの名はジャヤ(偉大なる勝利)+カルタ(街)の意味を持ち、かつてこの地に栄えたバンテン王国のスルタン(イスラム王朝の君主の称号)が1527年頃つけたものである。

06 ジャカルタ

↑ジャカルタ市内

その後、大航海時代真っただ中の16世紀末(1500年末)頃にオランダが進出し1619年にはオランダ東インド会社のヤン・ピーテルスゾーン・クーン総督によって要塞が建設された。その時ジャカルタの名はオランダの先住民バタウィにちなんで、バタヴィアと改称された。

一方、日本で江戸時代初期に当たるこの頃、長崎の平戸からオランダの兵力と労力の補充の為、日本人がジャカルタに送り込まれ1630年代まで常時100人前後の日本人がジャカルタに住んでいたようである。これには少々驚いた。

それから約320年後の第2次世界大戦最中の1942年この地を占領していた日本軍政当局がバタヴィアをジャカルタと改称した。それが現在に至っている。

07 ジャカルタ

↑ジャカルタ市内

日本軍がジャヤイモの由来となった地名を復活させた事になる。

最後に私自信疑問に思っていたインドネシアの名前の由来について述べておきたい。

ネシアとは古典ギリシア語で「諸島」を意味する。では何故インドなのか?

アメリカ大陸に到達したコロンブスがその地をインドと信じ続けた事は有名な話である。後に過ちに気づいたヨーロッパ人はアメリカ大陸を「西インド」、本来のインドとその近隣地域を「東インド」と呼ぶようになった。

この事からかつてのヨーロッパ人はインドネシアを含む東南アジアの島嶼(とうしょ:大小さまざまな島のこと)を東インド諸島と呼んだ。

これがインドネシアの名前の由来である。

名前の由来を辿る事により歴史的な背景を学ぶ事が出来る。これは名前に限った事ではない。諸事において言える事である。そして歴史を解明する事が、ある物事の重要性を見つける事につながって行く。

常に探究心を持ち続けたいものである。

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