オモチャを追いかけ回したり、
机から滑り落ちたり、
あお向けに寝たり、
思いもよらない行動をとる愛くるしい犬や猫の姿を動画サイトなどで見ると気持ちが癒されますよね。
日本の犬猫の飼育世帯率は約12%(2015年)ですから10世帯に1世帯以上は犬猫のどちらかを飼っていることになります。
犬猫以外にもウサギや小鳥なども含め今やペットは家族の大切な一員となっていますね。
そんな家族の一員が病気になれば人と同様に病院へ連れて行くことは多々ありますよね。
小動物を扱う動物病院の数は11,486院(2015年)で10年前(2005年)の9,482院と比較すると1.2倍に増えています。
獣医さんの重要性もその分だけ高まっていると言えるでしょう。
獣医学と云う学問の観点から見るとその教育は1877年(明治10年)に駒場農学校で開始されたのが最初のようです。
学問としての獣医学の歴史は意外に新しいものですが動物治療という観点から見た場合その歴史はもっと遡ることができます。
江戸時代には「犬の書」(1616年)や「牛療治調法記」(1756年)、戦国時代には「病馬覚書 上中下」(1505年)などの動物治療に関する文献が残されています。
江戸時代より以前は馬が治療の対象で犬や牛の治療が見られるようになるのは江戸時代に入ってからのことのようです。
では文献に残されている日本で最も古い動物治療とはいったいどのようなものでしょうか?
皆さんもよくご存知のはずですよ。
治療対象の動物は犬でも馬でもありません。
答えは古事記(712年)に記載されている「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」伝説です!
『大国主命(おおくにぬしのみこと)の異母兄弟であり彼を嫌っていた八十神(やそがみ)たちは八上姫(やかみひめ)に求婚するための移動中に毛をむし取られてしまい痛っているウサギに出会います。
そのウサギに対し「海水で体を洗い風にあたるように」教えます。
教えに従ったウサギの痛みは増してしまいます。
痛みに耐え切れず泣いているところに大国主命が通りかかります。
大国主命は「真水で体を洗い、ガマの穂を敷いて寝れば治る」と教えます。
その教えに従ったウサギの傷は癒えました。』
これが文献に残る日本最古の動物治療です!
因幡の白兎の舞台となったのが鳥取県の白兎海岸(はくとかいがん)とされています。
伝説に登場するウサギが住んでいたとされる淤岐ノ島(おきのしま)が浮かぶ青い海。
その色を引き立てる白い砂浜。
美しい海岸は訪れる人に古(いにしえ)の時代の情景を想像させてくれるでしょう。
さて、白兎海岸に沿って走る国道9号線を挟んで反対側に目を移すと鳥居が視界に入ります。
白兎神社(はくとじんじゃ)への入り口です。
本殿までの参道ではウサギの石像が参拝者を迎えてくれます。
ご察しの通りこの神社の主祭神は因幡の白兎です!
よって皮膚病にご利益があるそうです。
境内にはウサギが体を洗ったとされる池があり「不増不滅の池」と呼ばれ干天の時も豪雨の時も水位が変わらないとされています。
不思議な池ですね。
ところで因幡の白兎の話にはまだ続きがあります。
大国主命の教えに従って治療をしたウサギですが回復したことを喜び大国主命に対し予言をします。
「八上姫は八十神たちではなくあなた様のもとにやって来られるでしょう」と云うものでした。
八十神たちから求婚された八上姫は「あなたたちの言うことは聞かない。私は大国主命と結婚いたします」とはねつけました。
その後、ウサギの予言通り大国主命と八上姫はめでたく結ばれました。
実はこれ、日本最古のラブストーリーだそうです。
このことから白兎海岸はラブストーリー発祥の地とされています!
人を欺くと何らかのしっぺ返しがあり、人に親切にすれば何らかの恩返しがあると云うことをラブストーリーとして教えてくれるとは古事記も粋なことをしますね(^^)
以上のことから白兎神社は縁結びにもご利益のある神社とされています。
この地方に訪れた際は人生の教訓を教えてくれる白兎海岸を眺め白兎神社で参拝せてご利益を得ましょう!