日本では古来より動物を神格化したり、あるいは神の使いとして扱って来ました。
面白いことに現代においては怪獣まで神格化しています。
昨年(2016年)上映された庵野監督のシン・ゴジラのシンには「新」「真」「神」など見る人に様々に感じてもらいたいという思いが込められているようです。
つまり神・ゴジラとするならばゴジラは神の一つに数えられるわけですね(^^)
ストーリー上においても大戸島(架空)の伝説の海神「呉爾羅(ゴジラ)」に由来するとしています。
神・ゴジラはこれまでのゴジラと比較するとパワーアップして神(?)にも関わらず街を滅茶苦茶に破壊してしまいました(^^;
パワーアップしたと言えば先日、上映中(2017年4月公開)のキングコング−髑髏島の巨神−を見て来たのですがこちらもゴジラに負けず劣らずパワーアップしていました。迫力満点で面白かったですよ。
↑映画館で頂いた絵葉書
キングコングはアメリカ生まれではありますがストーリー上では髑髏島の守り神と言う設定です。
動物は洋の東西を問わず神格化され易いという事かもしれません。
さてキングコングはゴリラ、つまり猿の仲間ですね。その猿を神使(しんし:神の使い、神の使者)としている神社があります。
滋賀県大津市にある日吉大社(ひよしたいしゃ)です。
日吉大社は約2100年前の紀元前91年崇神天皇(すじんてんのう)の時代に比叡山の麓に創祀(そうし)されたとされ西本宮と東本宮を中心とする建物から成り全国に3,800社ほどある日吉神社(ひよしじんじゃ)・日枝神社(ひえじんじゃ)・山王神社(さんのうじんじゃ)の総本山です。
↑西本宮楼門
↑西本宮(本殿は国宝)
↑東本宮楼門
↑東本宮(本殿は国宝)
そして境内には神猿(まさる)と呼ばれる本物の猿が飼育、じゃなくて崇められています。神使を飼育しているなんて言ったらバチが当たってしまいますね(^^;
↑神猿
神猿(まさる)には「魔が去る」「勝る」の意味が込められています。さすが神使ですね縁起がいい。
なぜ猿が神使になったのでしょうか?
実は詳しい事は分かっていないようです。
比叡山は古来より猿が多く生息していました。その比叡山の麓に建てられた日吉大社の東本宮の御祭神である大山咋神(おおやまくいのかみ)は山の神様です。
このような関連から猿が神の使いとなったとも考えられているようです。
いずれにしても日吉大社と猿との縁は強くそれは境内のあちこちで見る事が出来ます。
↑猿岩
↑西本宮楼門の「棟持ち猿」
ところで日吉大社に対する信仰は山王信仰(さんのうしんこう)と呼ばれ豊臣秀吉や徳川家康も信仰したとされています。特に豊臣秀吉においては自分のあだ名が猿だったこともあるのか特別な神社として位置付けていたようです。因みに秀吉の幼名は日吉丸とされていますがこれは後から創作された説が濃厚のようです。
天台宗の開祖・最澄(さいちょう)が比叡山に延暦寺を建立した際、比叡山の地主神であった日吉大社を延暦寺の鎮守神・天台宗の護法神と定めました。これは中国の天台宗の本山である天台山に山王弼真君(さんのうげんしつしんくん)が祀られている事を倣ったものとされています。
このことから日吉大社の祭神は山王権現と呼ばれるようになり、そこから日吉大社に対する信仰を山王信仰と呼ぶようになったと言う事です。
つまり日吉大社は神道と仏教が融合した神社であり、いわゆる神仏習合(しんぶつしゅうごう:神道と仏教が混交し一つの信仰体系として再構成された宗教現象)を代表する神社の一つと言う事になります。
↑神道と仏教の合一を表現した三角形の屋根が特徴的な山王鳥居
異なる宗教を融合させてしまうと言うのは西洋では信じられない事ではないでしょうか?
しかし、融合という意味では西洋の国アメリカで日本生まれの映画ゴジラとアメリカ生まれの映画キングコングが融合されるかもしれません。
キングコングの配給会社はワーナー・ブラザースですがワーナー・ブラザースはハリウッド映画としてアメリカ版「GODZILLA」を制作しています。同社は将来ゴジラとキングコングを対決させようと試みているようです。
本当にこれが実現したらどんな映画になるのでしょうかね?
二つの世界観が融合したら全く異なる世界観が生まれるのは間違いないでしょう。
ゴジラとキングコングは架空の世界ですが現実世界に目を向けると異なる宗教の対立が戦争にまで発展しています。日本の神仏習合のように上手く融合して平和な世界が訪れるといいですね。
日吉大社に参拝したら世界平和を祈りましょう。
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