水面をゆったりと進む屋形舟の上から望む状景。
それは。。。。。
水路の両側に生い茂る草木の緑。
時おり姿を見せる水鳥。
甲羅干しをする亀。
のどかな風景に囲まれた心地よい非日常的空間。。。。。
それが近江八幡の水郷めぐりを経験する人に与えられる特権と言えるでしょう。
近江八幡の水郷は琵琶湖の内湖として現存する中で最大の面積を持つ「西の湖」を中心に広がる水郷です。
2006年(平成18年)1月に国の重要文化的景観第一号に選ばれ、2008年(平成20年)10月にはラムサール条約湿地として登録されています。
守るべき日本の原風景と云う事ですね。
近江八幡(滋賀県)は、豊臣秀吉の甥・豊臣秀次によって開かれた城下町であり、織田信長が築城した安土城からも近い距離にあります。
水郷めぐりはこのような立地条件も重なり秀次や信長が戦国の世の疲れを癒すため、宮中の雅やかな舟遊びを真似たことが始まりとされているそうです。
さて、近江八幡の水郷めぐりの最大の特徴は何と言ってもヨシによって形成される広大な茂み「ヨシ原」の間を巡覧することにあります。
ヨシ(葦、芦、蘆、葭)は河川の下流域や干潟などの湿地帯に生息するイネ科の多年草の植物です。その利用価値は高く古くから屋根葺きや簾(すだれ)、葦簀(よしず)などに加工され、江戸時代には近江商人によって日本各地へ広く流通されました。
ヨシはアシとも発音します。名前の変遷を見ると平安時代まではアシと呼ばれていましたが「アシ」が「悪し」と同音のため縁起が悪いことから「ヨシ」となったそうです。
よって現在の正式な名称はヨシとなっています。
このように生活の中に溶け込んでいるヨシですが 日本ではいつ頃から文献の中に登場しているのでしょうか?
日本の古名の一つに「豊葦原瑞穂(とよあしはらみずほ)の国」があります。
古事記の天地のはじめの章において二柱の神様が生まれる様子が「まるで葦の芽が、春先に芽吹いてくるような力が沸き起こり」と書き表されています。この二柱の神が携わって出来た島々が「豊葦原の千秋の長五百秋の水穂の国」と言われ、これにより日本の古名は豊葦原瑞穂の国と言います。
古事記に登場し国の名前になるほどヨシと日本人の間には強いつながりがあると云うことですね。
さて、日本と密接な関わりも持つヨシですがヨシに関わるフレーズやことわざは洋の東西を問わず多く存在します。
特に有名なものとしてパスカルの「人間は考える葦(roseau pensant)である」がありますね。
人間は一本の葦であり自然の中において脆弱であるが思考する能力ち偉大であることを表しています。
この他にも以下のようなものがあります。
「すべての風になびく葦」=都合によって節操をかえること。
「難波の葦(アシ)は伊勢の浜荻(ハマオギ)」=物の名前が地方によって様々に異なること。
「葦によりかかる」=あてにならないこと
「葦の髄から天井をのぞく」=細い葦の茎の管を通して天井を見て、それで天井の全体を見たと思い込むこと。自分の狭い見識に基づいて、かってに判断することのたとえ。
いかがでしたか?色々ありますね。
近江八幡に訪れた際は水郷めぐりに参加して日本の原点となるヨシを観察しながら多くのことを学びましょう!
【English WEB】
http://japan-history-travel.net/?p=5135
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