「地球を怪獣から守る日本の国民的ヒーローは誰ですか?」と質問されたら
「ウルトラマン!」と答える人は数多くいるのではないでしょうか?
では「海女(あま)を海難から守るのは?」と聞かれたら何と答えますか?
多分答えられないですよね。
答えは「セーマンドーマン」です。
「セーマンドーマン」って何?って思いますよね。
「セーマンドーマン」とは三重県の志摩地方(鳥羽市、志摩市)の海女(あま)が海に潜る時、身に着ける手拭いや襦袢などに着けた魔除けの印のことを指します。
「ウルトラマン」が地球の守り神なら「セーマンドーマン」は海女の守り神ということになりますね(^^)
セーマンは星型の五芒星(ごぼうせい)。ドーマンは縦4本、横5本の線から成る格子状の印です。
(↑出典:Wikipedia)
これらの印は何を意味するのでしょうか?
印の起源は明確になっていないようですがセーマンは安倍晴明(あべのせいめい)、ドーマンは芦屋道満(あしやどうまん)の名に由来を持つとされています。
安倍晴明と言えば映画「陰陽師(おんみょうじ)」で一躍有名になった人物ですね。
陰陽師とは簡単に言えば奈良・平安時代に天文学と方位学に基づく占術を職務とした官職の一つです。安倍晴明は948年(天歴2年)に官職に就き村上天皇や花山天皇、藤原道長(ふじわらのみちなが)などの信頼を得て官職を歴任しました。
その安倍晴明が祀られている晴明神社(せいめいじんじゃ:京都市)には神紋としての五芒星が境内に散りばめられています。
鳥居の扁額や井戸の形までも五芒星です!
↑晴明井
五芒星は陰陽道の基本概念である陰陽五行思想から来る木・火・土・金・水の5つの元素の働きの相克を表したものであり魔除けの呪符の役割を持っていると言いますから晴明神社の守りは完璧ですね(^^)
↑安倍晴明の像
晴明神社の神紋である五芒星は桔梗(ききょう)の花を図案化した桔梗紋が変形されたもので「晴明桔梗(せいめいききょう)」とも呼ばれています。
↑桔梗(フリー写真サイトより)
桔梗は日本の在来種の一つですがレッドデータブックなどに絶滅危惧種として登録されているそうです。
「いやいや園芸屋さんへ行けば手に入るよ」と思うかもしれませんが絶滅危惧種の考え方は野生種を対象にしているため人為的な交配で作り出された園芸種とは異なります。
野生種が絶滅しつつあると言うことはそれだけ自然が破壊されていると言うことです。私達は安倍晴明が生きていた時代の状態に戻す努力をしていかなければなりませんね。
ところでセーマンドーマンのドーマンこと芦屋道満が気になりませんか?
芦屋道満は安倍晴明のライバルと称され晴明に引けを取らないほどの呪術力を持った陰陽師です。
道満は晴明が仕えていた藤原道長の暗殺を道長の政敵である藤原顕光(ふじわらのあきみつ)から請け負いましたが晴明との対決で敗れ播磨へ追放されてしまったとされています。
ドーマンの印は九字紋(くじもん)と呼ばれ、九字は中国に伝わる呪力を持つとされた天・元・行・躰・神・変・神・通・力(てん・げん・ぎょう・たい・しん・ぺん・じん・つう・りき)の9つの漢字を指すとの事です(9字には他にも色々な文字が当てられるみたいです)。
五芒星しかり、九字紋しかり意味が込められていると言う事ですね。漢字だってそうですよね。
印に限らず人が創り出したものには全て何らかの意味が込められているはずです。皆さんも自分の家紋や会社のマークなどなど色々なものの意味を調べたら面白い発見があるかもしれませんよ!