奈良の空を見続けてきた屋根瓦

このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG_0457

その屋根瓦はずっとそこで空を見続けています。青く晴れた日ばかりではありません。雨の日も、炎天下の日も時には雪が積もる事もあるでしょう。

元興寺(がんこうじ:奈良市)の屋根瓦は現存日本最古の瓦とされています。

元興寺の前身は日本最初の本格寺院である法興寺(飛鳥寺)で、平城遷都から8年後の養老2年(718年)現在の地へ移転され、本堂の屋根瓦の一部は、その時飛鳥から運ばれたものとされています。

当時は南都七大寺のひとつとして栄え、現在は極楽堂や禅室が国宝に指定されており、収蔵庫には国宝の五重小塔などが安置されています。

最近の瓦は軽量化され耐熱性にも優れいます。もちろんその性能は元興寺の瓦より優れていると思います。しかし、1,000年以上の月日に耐えてきた元興寺の瓦には、その瓦にしか醸(かも)し出す事のできない風格と美しさがあります。

歳を重ねる事に風格が備わって来るのは人間も同じですよね。

瓦の語源につてちょっと調べてみました。

『瓦(歴史的かなづかいでは〈カハラ〉)の名はサンスクリットのカパーラkapāla(原意は〈皿〉〈鉢〉〈頭蓋〉などの意)からきたとの意見が《箋注和名類聚抄(センチュウワミョウルイジュショウ)》に見える。

近年の学者にもこれを採る者が少なくないが,ほかに亀甲の意の〈カワラ〉あるいは甲冑を表す〈カハラ〉に由来するとか,屋上の〈カハ(皮)〉の義,もしくは〈カハル(変わる)〉(土を焼いて板に変えることから)の転訛とする説などがある。

※箋注和名類聚抄=江戸時代に書かれた、倭妙類聚抄の注釈研究書として代表的な文献。和名類聚抄は、平安時代中期に作られた辞書』

とありました。

元興寺は猿沢の池から約400mの場所に位置しています。興福寺、東大寺に訪問した際は元興寺にも立ち寄って日本最古の瓦が見て来た古(いにしえ)の空を思い浮かべてみて下さい。

【English WEB】
http://japan-history-travel.net/?p=5548

このエントリーをはてなブックマークに追加