人は時として元来人間が持ち合わせていない能力を得たいと思う時があります。
例えば
「重要な会議に遅刻しそうな時に瞬間移動出来ないだろうか?」とか。
「大切な書類を手の届かない隙間に落してしまった時に念力で取り出せないか?」とか
或いは
「テストの最中に机の中の参考書を透視出来ないだろうか?」
など様々な場面で直面します。
これらはいわゆる超能力と呼ばれている能力です。
「超心理学」はドイツの心理学者マックス・デソワールによって1889年に生み出された概念・用語ですが、ここで初めて超能力が研究対象として挙げられました。超能力はESP(Extra-sensory perception、通常の感覚器による知覚を超えた知覚)と意思の力だけで物を動かすサイコキネシス(念力、PK)に大別されています。
学問的には100年そこそこの歴史と言う事になりますが伝説と言う視点で見た場合、例えば空海が岩盤を独鈷(とっこ:密教で使う短い金属製の棒)で突いて湧水させたなど日本の歴史上には超能力を使ったと思われる人物が度々登場します。
その中でも最大級の人物が役小角(えんのおづぬ)ではないでしょうか。
役小角には「空を飛んだ」「海の上を走った」などの伝説が数多く残されており小説家の夢枕獏(ゆめまくらばく)さんが監修したアンソロジー「七人の役小角」にも七人七様の役小角が登場しています。
役小角にまつわる話は伝説かもしれませんが役小角については「続日本紀」に記述があり7世紀の飛鳥時代に実在した人物とされています。
しかし実在したとなると伝説ではなく事実と言う可能性も出て来ますね。もし事実であるならその能力を実際に見て見たいものです。
さてこのような想像をかきたててくれる役小角は日本独特の宗教である修験道(しゅげんどう)の開祖、とされ金峯山(きんぷさん)と呼ばれる奈良県の吉野山から山上ヶ岳(大峯山)に至る一帯で修行をし、修験道の総本山となる金峯山寺(きんぷせんじ)を創立したと伝えられています。
と言う事でご本尊も金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)と呼ばれるインドに起源を持たない日本独特の仏様です。
さて吉野山と言えば桜の名所ですが、その起源はこの蔵王権現と役小角にあるとされています。
↑桜のシーズンはこの景色が一目で千本見る事の出来る風景になります。
なぜなら蔵王権現は役小角によって桜の樹から彫られたとされ、これにより桜は神木となり蔵王権現に祈願する際には、桜の苗を寄進する風習が生まれ、平安時代の頃から多くの桜が植えられるようになったと言う説が残されているからです。
超能力で彫ったんですかね(^^)
ところで少し話はそれますが一つ質問です。日本一大きな木造建築は何かご存知ですか?
お分かりですよね。答えは皆さんごよくご存知の東大寺大仏殿です。
では2番目は?
答えられた人は少人数ではないでしょうか。
答えは金峯山寺の本堂でもある蔵王堂です。
ちなみに東大寺は高さ47メートル、幅57メートル、奥行50.5メートル。金峯山寺は高さ34メートル、幅・奥行ともに36メートルです。
日本一高い山は富士山ですが2番目は?となると答えられないですよね(答えは北岳です)。
1番と2番の差と言うのは2番と3番の差と比較するとかなりの差があると言う事ですね。
でも1番にならなくても目立つ方法はあります。それは特色を備える事です。例えば浅間山や阿蘇山は知っていますよね。浅間山も阿蘇山も活火山と言う特色を備えています。
金峯山寺も日本で2番目に大きい木造建築としては知られていませんが桜で有名な吉野山にあるお寺として知られています。
皆さんも順位で水をあけられた時は特色を全面的に押し出しましょう。
さて、以上の様な形で吉野山一帯を有名にした役小角ですが1100年忌(1799年)の際に当時の光格天皇(こうかくてんのう)から日本の歴史上唯一の尊号である「神変大菩薩」を与えられました。
神変とは何とも超能力者に相応しい尊号ですね(^^)
桜の季節でもそうでない時でも金峯山寺に訪問した際には超能力者になった気分で吉野山一帯を散策して下さい!
何か新しい発見があるかもしれませんよ(^^)