それが存在する事により一般的に認知されている通説を覆さなければならなくなってしまう。それ故に脇へ追いやられ調査・研究の対象から外されてしまい表舞台に出て来ていない物があります。
それがオーパーツ(OOPARTS)です。
考古学上それを生み出した時代や文化・文明のレベルに合わない加工技術で製造された出土品で英語の「out-of-place artifacts」を略した造語であり日本語では「場違いな工芸品」などと訳されています。
具体的にはどんな物なのでしょうか?
以下、事例を記載致します。
■ パレンケの石棺
メキシコのチアバス州パレンケにある古代マヤの遺跡で発見された1枚の岩をくりぬいて作られた縦3メートル、横2.1メートル、高さ1.1メートル、重さ5トンもの石棺の表面中央に宇宙飛行士がロケットに乗っていると思われる絵が彫られている。
■ デリーの錆びない鉄柱
インドのデリー郊外に直径44cm、高さ7m、地下部2m、重さ10tの鉄柱がある。この鉄柱は紀元415年頃に建てられたものとされるが99.72%という高純度な鉄で作られており地上部分は1500年以上のあいだ錆が内部に進行していない。
■ ネジの化石
ロシア西部のカルーガで隕石の衝突跡地を調査していた際に岩石の中からおよそ3億年前の化石の中にネジと思われる物体が含まれているのが発見された。
上記の事例はほんの一部であり世界各地で多くのオーパーツが発見されています。
どうですか?驚きですよね。
なぜこのよう物が存在するのか?その謎を知りたい方はグラハム・ハンコック氏の「神々の指紋」を読むと納得するかもしれません。興味のある方は一度読んでみては如何でしょうか。なかなか説得力があって面白いですよ。
ところで世界各地に存在しているオーパーツですが、日本にも存在しています。
どんな物なのでしょうか?
それは皆さんもよくご存知の勾玉(まがたま)です。
↑勾玉(いずもまがたまの里伝承館(松江市)にて撮影)
勾玉は最も古いものは縄文時代の遺跡から発見されており日本古来の装身具の一つとされています。
では、なぜ勾玉がオーパーツなのでしょうか?
勾玉には紐を通したとされる小さな丸い穴があいています。ここにその秘密が隠されています。
勾玉は翡翠(ひすい)で作られることが多いのですが大変硬く物質の硬度を表わす単位「モード」の数値が「7」だそうです。モード7と言うのは鋼鉄に傷を付ける事が出来る硬さでありダイヤモンドカッターで加工する場合でも非常に困難な硬度だそうです。しかも穴は綺麗な円を描いています。
電動工具もなかった時代にどのようにして穴をあけたのでしょうか?
不思議ですね~
今なおどのようにして加工したのか解明されていないそうです。
以上のような特性を持つ日本のオーパーツ勾玉は日本各地で出土しています。その産地の一つに島根県松江市の玉造温泉(たまつくりおんせん)があります。
玉造温泉は奈良時代に開湯され枕草子にも出て来る歴史ある温泉でありその名前はやはり勾玉造りが由来となっているそうです。
温泉街を見下ろす丘陵地には古墳時代から平安時代にかけての玉造生産の遺構が残り、竪穴住居や工房などが復元された出雲玉作史跡公園(いずもたまつくりしせきこうえん)として整備されています。
ところで勾玉と言えば三種の神器の一つですよね。この勾玉はこの玉造温泉の地で造られたとされ正式名称は八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と呼ばれています。
温泉街の近くにある玉作湯神社(たまつくりゆじんじゃ)には八尺瓊勾玉の作者とされる櫛明玉命(くしあかるだまのみこと)が祀られています。
この神社の社務所で小石を購入し境内の奥にある願い石に重ね合わせて祈ると願いがかなうと言われています。
↑願い石
ところで八尺瓊勾玉とはどんな勾玉なのでしょうか?
まず三種の神器ですが、そもそも皇族はもとより天皇でさえもその実見はなされていないそうです。その中で唯一、皇居に実物があるのが勾玉だそうです。
昭和天皇の大喪の礼時に八尺瓊勾玉が入った箱を持った従者は「子供の頭くらいの丸い物が入っている様に感じた」と証言しているそうです。
また、冷泉天皇(れいぜいてんのう:950年~1011年)が、勾玉の箱をあけて実物を確認しようとし、箱を封じている紐を解くと白い煙が湧き出てきたため、恐れおののき実物の確認を中断したと言う話が伝えられています。
誰も見たことのない勾玉ですがどんな勾玉なのでしょうか?
もしかしたら勾玉の穴に関する謎が解明されるヒントが隠されているかも知れませんね!
オーパーツは一般には受け入れがたい存在ですがそれを否定していてはその先は何も見る事が出来ません。オーパーツに限ったことではありませんが何事も否定から入るのではなく、まずは否定も肯定もせずニュートラルな状態で物事を考察する柔軟性を持ち合せることが必要ではないでしょうか?
玉造温泉に訪れる機会に恵まれたら柔軟性を持って不思議な勾玉を観察してみて下さいね。