国宝という価値を持つ犬山城の別の側面とは?

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犬山城

戦闘時において攻防を目的とする建造物には文化的な要素の一つである「美」を追求したデザイン性は必要ありません。しかし「日本の城」は戦闘の機能性と文化的な美の二つが違和感なく融合された特徴を持ち合わせていると言えるでしょう。

そのような日本の城で国宝に認定されている城は5つ。うち一つが犬山城(愛知県犬山市)です。

01 犬山城

02 犬山城

犬山城は国宝に認定されると言う価値の高さとは相反するような側面を持ち合わせています。それは後に説明するとしてまずは簡単にその歴史を紹介しましょう。

1537年、織田信長の叔父である織田信康が木之下城(犬山市内)を現在の地に移して築城したと言われています。

1584年の小牧・長久手の戦いでは豊臣秀吉が大軍を率いてこの城に入り小牧山に陣を敷いた徳川家康に対峙しました。

秀吉と家康が対決すると言う日本の歴史上重要な場面の一つに犬山城は参加したわけですね。

因みに、この戦いの詳細は別の機会に譲るとして、勝敗の行方は両者が講和する形で終了しています。

戦国時代から江戸前期までに城主は目まぐるしく入れ替わりましたが江戸時代の前期1617年に2代目将軍徳川秀忠から成瀬正成(まさなり)が城を拝領され、以来成瀬氏が代々受け継ぎ幕末を迎えます。

03 犬山城_成瀬氏歴代城主

↑天守閣最上階に展示されている歴代城主の肖像画

明治に入ると廃藩置県により廃城となりましたが1891年(明治24年)濃尾地震で天守閣の一部が破壊された際、それを修復する事を条件として1895年(明治28年)旧藩主の成瀬正肥(まさみつ)に無償で譲渡される事になります。

これにより犬山城は成瀬氏の個人所有物として長きに渡り保持されて来ました。

しかし、個人所有での維持管理が困難となり2004年(平成16年)成瀬氏の中から城主に選ばれた成瀬淳子氏(13代当主成瀬正浩の妹)が財団法人「犬山城白帝文庫」を設立し、理事長に就任する事によって個人所有から財団法人の所有へと移行されました。

21世紀に入っても戦国時代からあるお城が個人所有だったと言うのは驚きですね。

因みに犬山城白帝文庫の「白帝」についてですが、犬山城の別名を白帝城と呼びます。この別名は江戸時代中期の儒学者・思想家・文献学者である荻生徂徠(おぎゅうそらい)が中国の長江流域の丘上にある白帝城を詠った李白の詩「早發白帝城」(早に白帝城を発す)を木曽川沿いの丘上にある犬山城に重ね合わせて命名したと伝えられています。

以上のような歴史を持つ犬山城とその城下町である古い街並みの残る本町通りには現在多くの観光客が訪れ賑わいを見せています。

04 本町通り

05 本町通り↑本町通り

しかし、この賑わいは最近になってからの事で以前は現在のような活気はなかったそうです。

では何がきっかけで現在の賑わいを得る事が出来たのでしょうか?

その立役者となったのがロンドンブーツ12号の田村淳さんです。

淳さんはお城マニアで有名ですね。

フジテレビのバラエティ番組「おしろツアーズ~絶対行きたくなる!おもしろ名城旅~」のMCを務め犬山城も何度か取り上げています。

これが起爆剤となり犬山市も本格的に町おこしに乗り出しました。

結果、2009年(平成21年)に年間約31万人だった犬山城の入場者数は2013年(平成25年)には約44万人と右肩上がりで増加したそうです。

淳さんは全国の城郭の中でも犬山城が最も好きな城との事です。そんな理由もあってか犬山観光特使にも任命されており、犬山城の知名度向上に務めていらっしゃいます。

「好きこそ物の上手なれ」ではないですが城に興味のない芸能人が特使になるより遥かにPR効果が出ているのではないでしょうか。

こうして国宝と言う希少価値に加え町おこしの成功により観光客も多く訪れるようになり名実共に有名となった犬山城。しかし、冒頭に触れましたがそれとは相反する側面を持ち合わせています。

実は犬山城の天守閣はいつ建てられたのか?判っていないのです。

今の姿になったのは江戸期になってからのことであり、築城当時から江戸期に至るまでどのような構造だったのか文献が残っておらず定かではないそうです。

06 犬山城_天守閣からの眺望

07 犬山城_天守閣からの眺望

08 犬山城_天守閣からの眺望

09 犬山城_天守閣からの眺望

↑天守閣からの眺望

現在では天守閣1〜2階部分は1601年に造られたと言う説が有力になっており、望楼部は更に新しい時代の築造ではないかと言われています。

しかし、これもまだ真実ではありません。真実を解明する為にロンブーの淳さんによって活気付いた城下町を散策しながら国宝犬山城に足を運び皆さんも調査してみてはどうでしょうか!

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