ハイブリッドな「江の島」

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江の島

1997年にトヨタがプリウスを発売して以来「ハイブリッド」と言う言葉は定着しましたね。

「ハイブリッド」には大きく二つの意味があります。

1.生物学において異なる種類・品種の動物・植物を人工的にかけ合わせてできた交雑種。

2.ふたつの要素を組み合わせて作られた一つのもの。複数の方式を組み合わせた工業製品など。

私達がハイブリッドと言う単語を使う時、ほとんどが2.の意味で使いますね。和風スパゲッティや筆ペン、デジカメなど日本人の得意とするところですよね。

ところが物ばかりではありません。日本人は場所までもハイブリッド化してしまっています。

その一つが人気の観光スポット「江の島(神奈川県藤沢市)」です。

01 江の島

なぜハイブリッドな島なのか?

ご説明しましょう。

そもそも「江の島」と言う文字からして古い文献などには「江島」「江乃島」「江之島」「柄島」「絵島」「画島」「榎島」「荏島」など様々な表記が見られるそうです。今でも駅など「江ノ島」と書かれる場合があります。文字の組合せでも全て「江の島」と言う一つの場所を表現できるわけですから「えのしま」と言う単語はハイブリッドと言えますよね。

これってこじつけですかね?(^^;

以降こじつけと思われる事を続けて書きますがどうぞ大目にみて下さいm(_ _)m

古来より江の島の中心的存在と言えば江島神社(えのしまじんじゃ)だと思いますが現代になって中心的存在に加わった建造物と言えは「江の島シーキャンドル」ではないでしょうか?

02 江島神社_瑞神門

↑江島神社(瑞心門)

03 江の島シーキャンドル

↑江の島シーキャンドル

そしてそのシーキャンドルの足元には洋風の庭園「江の島サムエル・コッキング苑」が広がり綺麗な花を咲かせています。

04 江の島サムエル・コッキング苑

05 江の島サムエル・コッキング苑

↑江の島サムエル・コッキング苑

江の島には和と洋、新と旧が一体となって存在しています。ハイブリッドですね〜。

ところで江の島は日本の近代博物学発祥地とされています。

その理由の一つがサムエル・コッキングにあります。アイルランド人貿易商だったサムエル・コッキングは、1885年(明治18年)江の島山頂部に画期的な熱帯植物園を完成させています。そして、その跡地に造られたのが江の島サムエル・コッキング苑です。

また、東京大学の初代動物学教授エドワード・S・モースは1877年(明治10年)、江の島に日本最初の臨海実験所を開いています。

これらの事柄が日本の近代博物学発祥地と呼ばれるようになった由縁です。

ちなみにシーキャンドルのカフェやショップのある建物は旧江の島展望灯台の土台がそのまま使用されているそうです。これも新と旧のハイブリッドと言えますね。

続いて江の島の歴史です。

奈良時代には役小角(えんのおづぬ)。平安時代には空海、円仁。鎌倉時代には一遍。江戸時代には木喰(もくじき)が江の島を修行の場として来ました。

その一方で源頼朝を始め、北条時政、徳川家康、徳川光圀等々名だたる武人が参詣に訪れています。更に江戸時代後期には行楽地化して多くの江戸庶民が訪れるようになりました。

江の島は修行地と参詣地のハイブリッドな島から参詣地と観光地と言うハイブリッドな島へ移行したとわけですね。

06 歌川広重作_相州江の島の図

↑江の島大橋・江の島弁天橋の入り口付近地下道の壁に埋め込まれた「歌川広重作 相州江の島の図」

そして参詣地と観光地のハイブリッドな江の島は現在も続いています。

07 江島神社参道入口

↑江島神社参道入口

江の島は標高60mほどですが島を巡るにはアップダウンが多く階段を上り下りしなければなりません。運動不足の人には少々きついかもしれませんね。

そこで重宝するのが日本初の野外エスカレーター「江ノ島エスカー」です。

個人的には階段と野外エスカレーターが同じ島の中に存在する場所を知りません。と言う事でこれも江の島を特徴付ける新・旧が混在するハイブリッドとさせて頂きます。

ちなみに私は健康のために階段を利用したので写真を撮る事ができませんでした。従いましてこの写真でお許しください↓

08 江の島エスカー

如何でしたか?

ここまでこじつけでもハイブリッドを表現すれば立派だと思いませんか?(褒めて下さい〜)

既に存在するものでもそれを組み合わせる事で新しい物が生まれます。それは常に新鮮な感覚を維持できる方法の一つになり得ます。

ハイブリッドな江の島に訪れて新鮮な感覚を味わいましょう!

追伸:

実は江の島の中心的存在の江島神社にもハイブリッドが潜んでいるのですがそれはそれで長くなってしまいますので紙面の都合上次週にレポートさせて頂きます。どうぞお楽しみ下さい。

【English WEB】

http://japan-history-travel.net/?p=5591

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