仕事をしていると、いいえ、そうでなくとも日々色々な問題に直面します。そんな時いつもドラえもんがいたらな〜と思うのは私だけでしょうか?
ドラえもんの中で私が個人的に印象に残っている話がのび太が桃太郎となり鬼退治に行く話です。これは映画にもなり「ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ」のタイトルで1981年に公開されています。
舞台は600年前の日本。のび太が桃太郎となり鬼退治に向かいます。その鬼の正体は外国人でした。
船が難破し、日本に漂着したオランダ人船長は村人に助けを求めたのですが外国人を見た事のない当時の日本人に鬼と勘違いされ石や竹槍などを投げられます。そこで自分の身を守るためにそのまま鬼になりすましていたといった内容です。
さて前置きはこれくらいにして本題に移りましょう。
鬼と言えば日本各地には色々な鬼の話や伝説が残っていますね。その中でも特に有名な鬼の一つが秋田のなまはげではないでしょうか?
なまはげは秋田県にある男鹿半島(おがはんとう)の各地で12月31日(もとは旧正月15日)の夜になまはげと呼ばれる鬼が家々を訪ねて回る行事です。
↑男鹿半島へ続く国道101号線沿いで待ち構える高さ15mと12mのなまはげ
かつては男鹿半島のほとんどの集落でなまはげは行われていたそうですが、現在は少子高齢化の影響で、ほぼ半減しているそうです。
そのような状況にあるなまはげに年中接する事の出来る施設があります。
それが「なまはげ館」です。
↑なまはげ館玄関
展示室に並ぶなまはげの集団!
恐ろしくもどことなく愛嬌のあるその容姿はなんとなく温かみのようなものを感じさせてくれますね(^^)
↑なまはげ館
「悪い子はいねがー」「泣ぐ子はいねがー」
大きな包丁を下げたなまはげに扮した村人が家々を訪れ、怠け者や子供、初嫁を探して暴れます。
↑なまはげ館
羽織袴の正装をした家の主人が丁重にこれを出迎え、その年に家族のしでかした日常の悪事を釈明します。
↑なまはげ館の鬼のお面
その後、酒や餅などをふるまって、送り返すと言うのが一通りの流れです。
どうですか?一度は見てみたいと思いませんか?
この一部始終をなまはげ館に隣接する「男鹿真山伝承館(おがしんざんでんしょうかん)」で見る事が出来ます!
↑男鹿真山伝承館
なまはげが暴れながら登場!
見学していた子供は泣きわめきます(笑)
そして主人となまはげとのほのぼのした会話が始まります。
↑男鹿真山伝承館のなまはげの実演
この会話がまた面白い!
機会があれば是非見学する事をお勧め致します。
ところでなまはげはいつ頃からこの地方に登場するのでしょうか?
江戸時代後期の旅行家・菅江真澄(すがえますみ)が1822年に記した「菅江真澄遊覧記」に秋田の小正月行事 「ナモミハギ」が記されています。これを「なまはげ」と同等と見なし、現在のところなまはげが登場する初の文献としているそうです。
しかし、その起源ははっきしておらず諸説あります。
秋田には「漢の武帝が5匹の鬼を従え男鹿に渡って来た。5匹の鬼は毎日武帝の為に働いたが正月15日だけは休みを与えられた。この時解放された鬼たちが里に降りて作物や家畜、村の娘たちまでさらい、暴れまわった」と言う説がある。この鬼をなまはげの起源とする「漢の武帝説」。
男鹿半島を海から望むと海に浮かぶ山のように見える。これにより村人を守る山の神が鎮座する場所として信仰の対象となった。その山の神の使者がなまはげであると言う「山の神説」。
男鹿半島にある本山(ほんざん)・真山(しんざん)は古くは修験道の霊場だった。過酷な修行に励む山伏の修行姿をなまはげとして考えたと言う「修験者説」。
ちなみに、男鹿真山伝承館・なまはげ館から徒歩数分の場所にある真山神社(しんざんじんじゃ)では毎年2月に「なまはげ紫灯(せど)まつり」が催されます。
↑真山神社
そして最後に、船の難破により男鹿に漂着した外国人の赤い顔、彫りの深い目鼻立ち、長い髪が鬼のように見えたと言う「異邦人説」。
この異邦人説、冒頭に触れたドラえもんの話に似ていませんか?そんな事もあり、私にとってはこの説が最も興味をそそられました。
異邦人と言うのはロシア人だったというのが有力であり、実際にそれを示すような古文書も残されているらしいです。
なまはげの起源説からは少々離れますがこの地方とロシア人との関わりとして更に興味深い話があります。
なまはげ行事が伝承される男鹿半島を含む秋田地方は戦国時代まで安東氏が領有していました。
この安東氏、古くはカムチャッカ半島まで勢力を伸ばしていたと言います。もしそれが本当であればこの時ロシア人と何らかの関わりがあったかもしれません。
実際に秋田県民の10%は白人しか持ってないウイルスを遺伝的に持っていると立証されているそうです。
この事は秋田美人、つまり秋田に綺麗な人が多い理由の一つにもなっています。
こうして見るとドラえもんの桃太郎の話もあながち無いとは言えない話ではないでしょうか?
ドラえもんがいたら、なまはげの起源や安東氏のカムチャッカ半島の話も解決してくれるでしょうね(^^)
現在、日本とロシアの間には北方領土をめぐる大きな問題が横たわっています。秋田地方のご先祖様がロシア人と繋がりがあるとするならば遠い親戚に当たります。
「袖振り合うも多生の縁」
人との縁はすべて単なる偶然ではなく、深い因縁によって起こるものだから、どんな出会いも大切にしなければならないと言う意味です。
北方領土問題だけでなく世界中の様々な問題がドラえもんの力を借りずとも縁を大切にして解決される事を願います。
男鹿半島に訪れる際はこんな事も頭の片隅に入れてなまはげに接して頂けたらと思います。
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