魚津の主婦達によって誕生したとも言える「米騒動発祥の地」

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春になると水を使い鏡のような表面を造り出し、夏には清々しい緑へと変化させ、秋は春夏の風景を熟成させ黄金色へと変化させる水田。

日本人の原風景を構成する水田の中で育まれる穀物がお米です。

お米は日本人の主食のため無くてはならないものです。それ故に不作などによる流通量の減少、価格の高騰により入手が難しくなると騒動へと発展します。

それが米騒動です。

江戸四大飢饉の一つに数えられる「享保の大飢饉(きょうほうのだいききん)」では米価高騰から困窮しきっていた江戸市民によって「享保の打ちこわし(1733年)」が起こりました。

打ちこわしとは、江戸時代の民衆運動の形態のうち、不正を働いたとみなされた者の家屋などを破壊する行為のことを言います。

一番新しいものでは1991年のフィリピン・ピナトゥボ山(ピナツボ山)の噴火が原因とされる記録的な冷夏から米不足となり、タイなど海外から緊急輸入をすると言う措置が取られる米騒動がありました。

これを「平成の米騒動」と呼びます。

記憶に残っている人も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

一般的に米騒動といえば1918年に起きた「大正の米騒動」を指す事が多いのですが平成の米騒動はこれに因んで付けられた呼称です。

では大正の米騒動とはどのような騒動だったのでしょうか?

大正時代、日本は人口増加により米の消費量が増大していました。加えて1918年にシベリア出兵が始まると米の買い付けが増し、一部商人は米を買い占めます。

これによりこの年の米価は急騰し半年で1.7倍となりました。

同年、地方の小さな町で大正の米騒動の発火点となる事件が起きます。

魚津(富山県)は江戸時代以来、越中東部の政治・経済の中心として栄え、大正年間にはこの地から北海道や樺太への米の積み出しが行われ、海岸に近い大町通りには魚津銀行や十二銀行魚津支店、高岡銀行魚津支店、富山貯蓄銀行らが軒を並べ金融業と併せて米の保管も行なっていました。

01 旧十二銀行近くの大町海岸公園↑旧十二銀行近くの大町海岸公園

7月23日、魚津沖に北海道に米を運ぶための蒸気船「伊吹丸」が停泊し米の積み込み作業を始めます。

02 魚津沖の景色(富山湾)↑魚津沖の景色(富山湾)

その荷積みを行っていたのは十二銀行(北陸銀行の前身)でした。

折からの米価高騰に苦しんでいた漁師の主婦ら数十人が十二銀行の米倉前に集まり、米の積み出しを止めるよう要求します。

03 旧十二銀行事務所↑旧十二銀行事務所

04 旧十二銀行の米倉↑旧十二銀行の米倉

これにより米の搬出は中止されました。

しかし、これが火種となり騒動は思わぬ方向へと進みます。

事件は地元紙により富山県内に大きく報道され為、近隣の沿岸部に飛び火し、次々と米騒動が起きました。

火の手はここで収まらず更に拡散して1道3府32県に及び、最終的には、内閣を総辞職に追い込む事態にまで発展。この後、日本で最初の本格的な政党内閣の誕生へとつながったのです。

主婦は強し。数十人の主婦の力が日本の政治を動かすまでに発展したと言うわけですね(^^)

いざと言う時に行動を起こせば無理な事もひっくり返す事が出来ると言う事例でしょう。

話は逸れますがお米は生で食べると腹の中の水分で膨張したりするなど腹痛や下痢などの原因となります。

関ヶ原の戦い(1600年)の前日、東軍率いる徳川家康は全軍に対し「生米を食うな」と厳命しました。

一方、石田三成率いる西軍は生米を食し下痢をしていたと言います。

この事が関ヶ原の戦いの勝敗を決めた一因になった事は否めないでしょう。

だからお米は水を加えて炊いて食べなければなりません。炊いて出来上がったものがご飯です。

大正時代、主婦はご飯を炊く作業に長い時間を費やさなければなりませんでした。しかし、現代は自動炊飯器により作業時間は大幅に短縮されています。

この時短によって創り出された時間が女性の活躍の時間へとつながった事は間違いないでしょう。

今年(2018年)、国会や地方議会で女性議員を増やすことを後押しする「政治分野における男女共同参画推進法」が成立しています。

偶然にも今年は大正の米騒動から100年に当たる年です。お米は女性が活躍する為のキーワードかもしれませんね(^^)

米騒動が起こった現場に、当時の建物が現存するケースは、旧十二銀行魚津支店の施設の他には無いそうです。そんな理由も手伝い魚津では、この地を米騒動発祥の地としています。

米騒動発祥の地で更なる女性の活躍を祈りましょう!

↓米騒動発祥の地の碑

05 米騒動発祥の地の碑↓米騒動のモニュメント(大町海岸公園内)

06 米騒動のモニュメント(大町海岸公園内)

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