古い歴史を持つ関宿に建つ地蔵院にまつわる言い伝え

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目まぐるしく変わりゆく時勢の中でほんの少しでも緩やかなひと時を過ごしたいと思ったのであればこのような場所に身を置く事が最良の方法かもしれません。

関宿(せきじゅく:三重県亀山市)は東海道五十三次で唯一重要伝統的建造物群保存地区に指定されている風情のある町です。さあ、関宿の町を散策して日頃の忙しさを忘れましょう!

↓会津屋_関宿を代表する旅籠屋の1つ↓関宿の街並み

↓玉屋(写真左手前)_関宿を代表する旅籠屋の1つ↓玉屋の屋内

↓橋爪家_江戸時代初めから両替商を営む豪商↓関宿の町並み↓鶴屋(写真左手前)_関宿を代表する旅籠屋の1つ↓関宿の町並み

如何でしたか?

さて、関宿の関の文字についてです。

関、つまり関所は検問や税を徴収するために交通の要所に置かれた施設です。

しかし、徳川家康が整備した江戸時代を通しての東海道の宿場町である関宿に関所は置かれていませんでした。

では、なぜ関の文字が付いているのでしょうか?

大化の改新(636年)によって、新たな指針を示すため改新の詔が発せられ、そこに「関塞(せきそこ)」を置くことが記されました。これが日本の歴史における関所の始まりと考えられています。

672年もしくは673年に政情不安の際に交通を遮断する為、畿内周辺に関所が設けられました。

その内の不破関(ふやのせき:岐阜県不破郡関ケ原町)、鈴鹿関(すずかのせき:三重県亀山市)、愛発関(あらちのせき:福井県敦賀市)の3つの関所は総称として三関(さんげん、さんかん)と呼ばれ、特に重要されていました。

もうお気づきでしょうか?

三関の1つ鈴鹿関は現在の関宿の位置に置かれていたのです。それが関宿の語源となりました。

さて、このように古い歴史を持つ関宿の歴史を見守って来たとも言えるお寺があります。

地蔵院です。↑地蔵院

寺伝によれば741年、諸国に流行した天然痘から人々を救うため奈良東大寺の僧・行基が関の地に開創したと伝えられているそうです。

御本尊の地蔵菩薩は、なんと!日本最古とされています。

そして、この地蔵菩薩には一休さんも関わっているようです。

その言い伝えが以下のものです。

『修繕をした地蔵の開眼供養をしてほしいと考えていた村人たちが、関宿を通りかかった一休和尚に頼んだところ快く引き受けてくれました。

しかし、一休和尚は

「釈迦はすぎ 弥勒はいまだ いでぬ間の かかるうき世に 目あかしめ地蔵」

(現代語訳:釈尊が人々を救済した時代はすでに過ぎた、また弥勒菩薩が出現するのはもっと先の世である。こんな末法の今世はただこの地蔵菩薩だけが救いである。どうか開眼させ給え)

と詠み、立小便をして立ち去ってしまいました。

これに怒った村人たちは別の僧に開眼供養をやり直してもらいましたが、その晩、高熱を出したある村人の夢枕に地蔵が立ち、供養を元のようにせよと命じました。

あわてて桑名の宿にいた一休和尚に助けを求めると、地蔵の首にかけるようにと古びた下帯を手渡され、言われたとおりにしたところ、高熱は下がったといいます』(亀山市観光協会のHPから転載)

一休さん、いい加減な仕事をしたように見えて実はしっかり仕事をしていたんですね(^^)

ところで、一休さんの詠んだ「釈迦はすぎ 弥勒はいまだ いでぬ間の かかるうき世に 目あかしめ地蔵」は地蔵菩薩について端的に説明をしています。

と言ってもこの句だけでは良く分かりませんよね。

そこで超簡単にまとめてみました。

地蔵菩薩を知るには、仏様全般について知る必要がありますのでまずは仏様から。

仏とは悟りを開いた人の事。

その悟りを開いた人がお釈迦様です。

そのお釈迦様曰く、全宇宙から見たら悟りを開いた人、つまり仏は無数にいるとの事です。

その中で全ての仏の先生のような位置付けとし、頂点に立つ仏が阿弥陀如来。次に来るのが阿弥陀如来の弟子に当たる大日如来、薬師如来などです。お釈迦様はここに入ります。

そして最後が菩薩になります。

菩薩とは「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略であり、「菩提」とは仏の悟り、「薩埵」とは求める人を指すそうです。つまり菩薩とはまだ仏の悟りを得ていない仏の悟りに向かって努力する人となります。

地蔵院に祀られている地蔵菩薩はここの位に入ります。

地蔵菩薩は釈迦の入滅後5億7600万年後か56億7000万年後に弥勒菩薩が出現するまでの間、現世に仏が不在となってしまう為、その間、衆生を救う菩薩であるとされています。

ちなみに弥勒菩薩とはお釈迦様の次に仏となることが約束された菩薩です。

以上、何となくお分かり頂けたでしょうか?

野球で言えば地蔵菩薩はお釈迦様と弥勒菩薩の中継ぎと言ったところですね。しかも菩薩って仏様ではないと言う事ですよね(^^;

とは言え、地蔵菩薩は現在の私達にとって重要な役割を果たしてくれていると言うわけです。

関宿に今も尚情緒溢れる町並みが残されているのは日本最古とされるお地蔵様が見守ってくれているからではないでしょうか。

時間に追われるのではなく時間の流れに身を任せる事で日頃のストレスを取り除く事が出来ます。関宿の古い町並みの中でお地蔵様と共に緩やかな時間を過ごしましょう!

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