指宿温泉の歴史はどこまで遡れば良いのでしょう?

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地中深くに打ち込まれた塩水クサビ(えんすいくさび)が錦江湾(きんこうわん)に面する海岸沿いに世界的に稀有な温泉の形態を造り出しています。

砂の中に身体を埋めて温泉に浸かる砂蒸し風呂です。

この砂蒸し風呂は世界で唯一、指宿温泉(いぶすきおんせん:鹿児島県)でしか体験する事が出来ません。

どのような仕組みで砂が温められるのでしょうか?

塩水クサビとは、河川や地下水の飽和状態となっている帯水層中に海水が遡上し、基底部付近に塩分濃度の高い層を造る現象を言います。

砂蒸し風呂の体験が出来る摺ヶ浜(すりがはま)の背後には泉源が控えており、ここから湧き出た熱湯が地下から海岸に向かって流下した際に塩水クサビによって流路を阻まれ塩水より軽い淡水の熱湯は地上に向かって湧き上がる事で砂浜が蒸されると言った仕組みです。

↑摺ヶ浜

この事は満潮時に砂浜がより熱くなる事実によって裏付けされているそうです。

自然の織りなす奇跡の現象ですね。

砂蒸し風呂は摺ケ浜沿いの数カ所の施設で楽しむ事が出来ます。

今回は砂むし会館「砂楽」さんの砂蒸し風呂で疑似体験しましょう!

↑砂むし会館「砂楽」

それでは砂蒸し風呂へ!

受付を済ませたら脱衣所で浴衣に着替えます。

浴衣の下はパンツを履かずにスッポンポンです(^^;

指定された場所へ向かいます。仰向けになり係りの人にスコップで砂をかけてもらいます。

熱さを感じた場合は身体を動かして緩和させます。↑砂蒸し風呂

10分ほど経ったら砂から出て大浴場へ。

浴場に入る前にシャワーでしっかり砂を落としてから入ります。

後は普通の温泉と同じ流れです。

如何でしたか?

さて、海水浴場で身体を砂で埋めて遊ぶ事もありますが、指宿の場合は温泉ですから当然効能もあります。

腰痛症、神経痛、五十肩、皮膚乾燥症等々に効く事に加え身体全体にかかる圧力により心拍出量(心臓から全身へ送り出される血液量)の増加や、深部体温が上昇する事で全身に酸素や栄養が運ばれ、老廃物が排出され、血液が浄化されると言うデトックス効果まで得られるのです。

素晴らしい効能ですね!

このような素晴らしい効能が得られる砂蒸し風呂はいつ頃から始まったのでしょうか?

古いものとしては1703年の摺ヶ浜で「砂蒸し湯治」として利用されていた記録があるそうです。

この頃が始まりなら300年近くの歴史があると言う事ですね。↑摺ヶ浜

ところが、ザビエルの来日に備え事前調査の為1546年に薩摩半島最南部に来たジョルジュ・アルバレスと言う人物はその報告書の中で指宿の事にも触れ「砂に穴を掘って横たわっている」と砂蒸し風呂を連想させる記述を残しているそうです。

もしこれが砂蒸し風呂の事ならば約500年前から存在していた事になります。

300年からプラス200年も遡る事になりますね。

話は変わりますが、指宿(いぶすき)とは変わった読み方ですよね。

どのような理由でこのような変わった読み方となったのでしょうか?

元々、指宿は「湯が豊かな宿」=「湯豊宿(ゆぶしゅく)」と呼ばれていたようです。これが転訛して指宿(いぶすき)となったと言う説があります。

しかし、なぜ「指」と言う文字が使われたのか?と言う疑問が残りますね。

そこに関わって来るのが天智天皇(てんぢてんのう)です。

天智天皇が鹿児島への行幸中に「湯豊宿の地、近くにあり」と指差したことから湯豊宿(ゆぶしゅく)の発音と指で差した事が結びつき「指宿(いぶすき)」となったと言う説です。

天智天皇の時代の風呂は現在とは異なりサウナの様な蒸し風呂形式だったそうですからもしかしたら天智天皇も砂蒸し風呂を経験したかもしれません。

この想像が当たっているならば天智天皇は626年〜 672年の人ですから砂蒸し風呂の起源はなんと約1300年以上前となりますね(笑)

ところで、天智天皇は一般に、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)として知られています。

中大兄皇子と言えば645年に蘇我入鹿(そがのいるか)を暗殺するクーデターを起こし(乙巳の変)蘇我氏の権勢にクサビを打ち込む事で体制を刷新して大化の改新と言う改革を断行した事で有名な人です。

天智天皇はクーデターと言うクサビで汚れた身体を塩水クサビによって生まれた温泉で浄化する為に指宿へ来たのかもしれませんね。↑砂蒸し風呂

温泉と言えば単純にお湯に浸かる事を想像しますが、指宿温泉のように全く異なる温泉も存在します。

このような事は温泉に限らず色々な事に言えます。1つの考えに捉われる事なく様々な角度から物事を見ることがこれからの時代を生き抜く智慧となるのではないでしょうか。

指宿温泉の砂蒸し風呂の砂に浸かって智慧を磨き大化の改新で改革を断行した天智天皇のように新しい事に取り組みましょう!

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