宝林寺は火事にも強いパワースポット?

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白い砂利が敷き詰められた境内。

その中央に建つ厳かな仏殿が来訪者を迎え入れてくれます。

浜名湖湖北五山の一つ初山(しょさん)の山号を持つ宝林寺(ほうりんじ:静岡県浜松市)です。↑宝林寺_仏殿

仏殿の裏側では方丈(寺の中にある、住持の居所)が仏殿とは全く異なる茅葺屋根の落ち着いた姿で佇んでいます。↑宝林寺_方丈

あるいは仏殿の右側に位置する中国風の建築様式を設えた報恩堂は異国の雰囲気を漂わせています。↑宝林寺_報恩堂

なぜ、中国風なのでしょうか?

それはこの寺の宗派が江戸時代初期に中国から来日した隠元隆琦(いんげんりゅうき)を開祖とする黄檗宗(おうばくしゅう)だからです。

宝林寺は近藤貞用(こんどうさだもち)が隠元隆琦の法弟である独湛性瑩(どくたんしょうえい)を招いて1664年に創建しました。

↑宝林寺_仏殿内

ではこの近藤貞用とは誰なのでしょうか?

井伊谷(いいのや)は、静岡県浜松市北区引佐町(いなさちょう)の地名で徳川四天王の一人である井伊直政(いいなおまさ)の出身地です。

井伊谷三人衆とは桶狭間の戦いで討ち取られた今川義元の嫡男・今川氏真(いまがわうじざね)に従っていた近藤康用(こんどうやすもち)、菅沼忠久(すがぬまただひさ)、鈴木重時(すずきしげとき)の3人を指します。

彼らは徳川家康が遠州攻めを行った際に氏真から徳川方へ離反し、一時期、家康の命を受けて井伊直政の配下に付いたこともあります。

この3人のうちの1人・近藤康用のひ孫にあたるのが近藤貞用です。

貞用は駿府城に居を移した徳川家康に謁見した際に家康の11男・徳川頼宣(とくがわよりのぶ)に仕えるよう命を受け、大坂冬の陣では頼宣隊に属し参戦した事のある戦国武将です。

家康は遠州攻めで曽祖父の康用が力になってくれた事を覚えていたのかもしれません。

さて、貞用は戦国時代の武将としては特に名の知られた武将ではありません。

にも関わらず歌舞伎の「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)と言う演目に近藤登之助(こんどうのぼりのすけ)として登場したり、昭和初期に映画化された作品が30本近くに及ぶ時代小説「旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)の主人公・早乙女主水之介(さおとめもんどのすけ)のモデルになったりしています。

なぜなのでしょうか?

それは貞用の明君としての器がそうさせているのかもしれません。

彼が治めた領地では領民の意見を自ら聞いたり、道路の整備、市場の開設、新田開発をしたりするなどの善政を施しました。

前述した歌舞伎の演目に登場したのも幡随院長兵衛ら町奴達(町奴=まちやっこ:江戸時代初期に江戸市中に出現した町人身分の遊侠の徒)の暴挙を征している為です。

また、早乙女主水之介は清廉潔白な性格で、権力の腐敗を憎み、相手が将軍でも直言を厭わない。一方で下々には慈悲深く、庶民とも気さくに交わる人物という設定です。

如何でしょうか?

このような人物によって創建された宝林寺は由緒正しく人々に優しいお寺と言えるかもしれません。↑宝林寺

その一つが境内にある金鳴石(きんめいせき)と呼ばれる石に現れていると言えそうです。

叩くと澄んだ綺麗な音が鳴ります。「お金の成る石」「宝くじの当たる石」としてお参りが絶えないそうです。↑金鳴石

その、金鳴石の横に龍文堂(りゅうもんどう)と言うお堂があり、以下のような言い伝えが残されています。

「宝林寺に招かれた独湛性瑩の偉大さを知って弟子となった子供がいました。この子供は龍文と言う名を定め修行に励んでいました。ある夜、龍文は裏山に入ったきり帰って来ませんでした。その夜、京都にある初山宝林寺の総本山・萬福寺の庫裡(くり:修行僧の宿泊所)が火事となったが、初山の龍文と言う僧が火を消した」

宝林寺が300年も厄災もなく続いたのは龍文様の守護によるものとして龍文堂が建てられたと言う事です。↑龍文堂

ちなみに、近藤貞用は1657年の明暦の大火で活躍し江戸幕府より賞されています。

宝林寺は龍文と貞用に守られた火に強いお寺と言えますね。

ところで、金鳴石を叩く際は龍文様に願いをして事をして金鳴石を叩くと願い事が叶うとされています。

この事から宝林寺はパワースポットのお寺として知られています。↑宝林寺

火事になれば全ての財産を無くしてしまう事もあります。火事から財産を守り金運にも恵まれると言うパワースポットは近藤貞用の善政によって生まれたのかもしれませんね。

とは言え、いくらパワースポットでも日頃の行動が伴っていなければ願い事は叶わないのではないでしょうか?貞用もそこは見極めていると思います。

浜松方面に行く機会がありましたら是非宝林寺に寄って下さい。

その際はパワースポットのご利益を確実に受けられるように日頃の不実な行動を改めた上で訪問しましょうね(^^)

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