原生林に囲まれた水清き支笏湖

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支笏湖

火山活動によって出来た大きな窪地。そこに雨水が溜まり湖となったものがカルデラ湖と呼ばれます。支笏湖(しこつこ)は北海道を代表するカルデラ湖の一つです。

面積は琵琶湖の1/9。にも関わらずその貯水量は琵琶湖に次ぐ日本で2番目。それもそのはず、水深においても秋田県の田沢湖に次いで日本で2番目の深さ(最大深度約360m)を誇るからです。そして、透明度も摩周湖(北海道)、バイカル湖(ロシア)に匹敵する程の透明度を有しています。

静寂な森に囲まれ、蒼く澄んだ豊富な水に満たされた湖は雄大な風景を創り上げ、訪れる人を魅了します。

日本歴史旅行協会の目的の一つは日本の歴史を知って頂きながら日本各地を紹介する事にあります。ところが支笏湖は手付かずの大自然の中に有る為、日本の歴史とは縁遠い関係に位置します。

原生林に囲まれた美しい支笏湖の風景を伝える為に、何か日本の歴史と関連はないかと模索していました。

面白い事にこのような意識を持ち続けていたら、あるテレビ番組から興味深い情報を得る事が出来ました。常に意識していれば、何も考えていない時よりも脳にあるアンテナに情報が引っかかっり易いと言う事だと思います。

と言う事で支笏湖と日本の歴史との関わりを紹介させて頂きます。

明治維新以降、欧米列強に肩を並べるべく欧化政策を推し進めた日本。日本が文明国として認めてもらう為に日本政府は「鹿鳴館外交」に象徴されるような外国からの賓客や外交官との社交の場を増やして行きます。そして、その集大成とも言える場面を迎える事となります。

それが大正天皇即位式(大正4年(1915年))です。即位式には世界各国から招待客が列席し、晩餐会が開かれます。西洋化を成し遂げた一等国である事を世界に示す必要があった日本政府はその晩餐会において最高の料理を振舞わなければなりません。

なぜ、料理に重点が置かれたのか?

料理外交と言う言葉があります。

19世紀はじめ、フランスがナポレオン戦争で敗れた際に戦後処理の話し合いを進める中、連日連夜最高のフランス料理でもてなしました。その結果、敗戦国であるにも関わらず有利な条件を獲得する事が出来たと言う事です。

さて、大正天皇の即位式に話を戻します。この晩餐会の料理長を任されたのが秋山徳蔵(あきやまとくぞう)です。フランス料理の最高峰「リッツホテル」で修行した経験を持つ日本人で最初の本格的なフランス料理を習得した「天皇の料理番」の異名を持つ宮廷料理人です。

秋山徳蔵が働いたパリのリッツホテル↓

秋山徳蔵は晩餐会の料理に出すスープにザリガニを用いる事を決めます。

西欧ではザリガニを食べる習慣があり、これを使った料理のレベルの高さを招待客が認めれば近代化国家としてのレベルの高さを示すと考えました。そして、このザリガニこそが今回の記事のキーワードです。

ザリガニは沼地に生息する為、調理しようとすると、どうしても泥臭さが抜けません。そこで着目されたのが支笏湖周辺の渓流に生息するニホンザリガニです。日本政府はなんと陸軍を支笏湖に派遣し、約3,000匹のニホンザリガニを捕獲させましす。

そして、晩餐会が始まるとこのザリガニが使用されたスープが出されます。結果は見事、招待客の舌を唸らせます!ザリガニのスープを皮切りに次々に最高のフランス料理が振舞われ晩餐会は成功しました。

そして、その成果は5年後に現れます。日本は国際連盟の常任理事国入りを果たす事となったのです。

日本を一躍世界の一等国に押し上るきっかけの一つとなったニホンザリガニが生息する支笏湖は北海道の玄関口新千歳空港から車で1時間弱の距離にあります。新千歳空港を利用される際は、旅行の最初もしくは最後に寄ってみては如何でしょうか。

【English WEB】

http://japan-history-travel.net/?p=5708

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