「いよぼや」…魚の名前です。どんな魚か分かりますか?漢字で表わすと「鮏」。人々を生かしてくれる魚と言う意味だそうです。
答えは「鮭(さけ)」です!
「いよぼや」とは鮭以外は魚ではない。鮭は魚の中の魚、魚は鮭だけだと言う意味だそうです。
村上の人達は鮭は天からの賜りものだと享けとめこのように呼んで慈しんで来ました。
なぜこれほどまでに鮭を大切にしているのでしょうか?
村上はかつて村上藩が置かれた新潟県北部に位置する城下町です。
越後一国を領していた上杉景勝(うえすぎかげかつ)が豊臣秀吉の命により会津へ移封された後に村上頼勝(むらかみよりかつ)が9万石で入封したことが村上藩の始まりとされています。
その村上藩の藩士・青砥武平治(あおとぶへいじ)が鮭と村上の人達の関わりを深めた人物と言えるでしょう。
何をしたのでしょうか?
村上を流れる三面川(みおもてがわ)流域は昔から鮭の川として知られ平安時代には既に鮭の加工品が租税として都へ納められていたそうです。
しかしながら藩政を支える重要な資源であった鮭は乱獲により江戸時代後期から年々不漁となり枯渇の一歩手前まで来てしまい深刻な問題へと発展します。
武平治は鮭の回帰性を利用し、鮭が遡上する三面川に産卵に適した場所を持つ分流を設け、ここで産卵させると言う「種川(たねがわ)の制」を考案し増殖事業を成功させました。
当時の記録では人工で鮭を増殖した例はなく、これが世界で初めての事業と言う事です。
ちなみに、この事業を成功させる為の拡張工事は30年に及んだそうです。
このような事例は江戸時代に限らず現代でもあちこちで起きています。一度崩してしまった環境を元に戻す為には長い年月が必要です。目先の事にとらわれず先を見据えた動きを取らなければなりませんね。
とこで村上には百種類以上の鮭料理が伝承されているそうです。特に「鮭の塩引き」の旨味はこの地域の気候風土がもたらす発酵環境の中で育まれるもので全国の鮭の産地の中でも村上だけが作りだす事の出来る味だそうです。
私も一つ購入してみたのですが、とても美味でした!再び現地まで行く事も出来ないので追加はネットで発注しようと思います。便利な世の中ですね(^^)
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「鮭の塩引き」は熟成過程で吊るし干しされるのですが、その様子を町の商店街に店を構える喜っ川(きっかわ)さんで見学する事が出来ます。天井から吊り下げられた鮭の群れは一見の価値ありです!
喜っ川さんの見学後は商店街を横道に逸れた安善小路(あんぜんこうじ)を歩いてみましょう!黒塀が印象的な城下町の風情を楽しむ事が出来ますよ。
新潟に訪れた際は鮭と黒塀の町・村上まで足を延ばして下さいね♪
【English WEB site】
http://japan-history-travel.net/?p=4898