海と島が絶妙なバランスを保ちながら美しく配置されている瀬戸内海。
尾道(おのみち:広島県)から今治(いまばり:愛媛県)にかけてまるで大小の島々と青い海を縫い合せるかのように走っている「しまなみ海道」。
この道をドライブしていると船に乗り換えて瀬戸内海を遊覧したい気分になってきます。
自分の車が水陸両用車だったら便利なことだろうと頭の中をよぎりました。
しまなみ海道が通り抜ける愛媛県に属する島としては最大の島・大三島(おおみしま)には水陸両用?の神様が鎮座しています。
大山祇神社(おおやまづみじんじゃ:愛媛県今治市)の主祭神・大山積神 (おおやまづみのかみ)です。
「おおやまづみ」の意味は「大いなる山の神」だそうです。そして大山積神の別名は和多志大神(わたしおおかみ)。「わた」は海の古語で、海の神を表すそうです。
山と海の両方に通ずる主祭神を持つ大山祇神社はどんな神社なのでしょうか?
まずは山と海の両側面から見てみましょう!
山の側面:
大山祇神社のご神体は島内にある鷲ヶ頭山(わしがとうざん:標高436.5m)。
山と言ったら森や林をイメージしますよね。
大山祇神社は日本最古の原始林社叢に覆われています。この原生林は楠木群によって形成されており国の天然記念物に指定されています。
※社叢(しゃそう)=神社において社殿や神社境内を囲うように密生している林のこと
また、境内のほぼ中央に佇む幹周11.1m、根周り20m、樹高約15.6m、伝承樹齢2600年の巨大な楠木は参拝客を日常の喧騒から解放させてくれる神秘的な雰囲気を漂わせています。
その他、初代総理大臣の伊藤博文が植樹した楠木があります。
↑伊藤博文公記念楠樹
どうですか?山の貫録をそなえていますよね♪
海の側面:
大山祇神社は海に囲まれた島にありますからこれだけで海の神様と言えますよね。そして古来より海に関連する武将に信仰されています。
二度目の元寇(げんこう)、いわゆる弘安の役(こうあんのえき:1281年)の際に瀬戸内最大規模の水軍の将であった河野通有(こうのみちあり)が大山祇神社に戦勝祈願して出陣しています。
昭和の時代には旧帝国海軍連合艦隊司令長官・山本五十六(やまもといそろく)も参拝し、現代では海上自衛隊・海上保安庁の幹部の参拝があるようです。
さて、このように山と海の側面をもつ大山祇神社ですが、他にも異なった側面を持っています。
軍神としての側面です。
刀剣、甲冑(かっちゅう)、弓箭(きゅうせん)など多くの武器武具が大山祇神社に保管されており特に甲冑に関しては日本の国宝・重要文化財指定品の4割がここにあるそうです。
主な甲冑には先述した河野通有始め源義経(みなもとのよしつね)、源頼朝(みなもとのよりとも)が奉納したと伝えられるものがあります。
まさに武の神様ですね。
「山」「海」「武」の側面以外にもまだあります。
■全国にある山祇神社(大山祇神社)の総本社。
■主祭神の大山積神は三島大明神とも称され静岡県の三嶋大社と共に三島神社の総本社とされる。
■朝廷からは「日本総鎮守」の号を下賜されている。
凄いですね~
多才な神様と言う事ですね♪
人は才能を持ちすぎると時に驕りがちになります。
大山祇神社の境内には御田植祭のための水田があります。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
常にこの気持ちを持ち続けたいものです。
多才な側面を持つ大山祇神社はこの事を伝えたくて水田と言う側面を境内に設けたのかもしれませんね(^^)