普段と異なる風景で視界を埋め尽くしたいのであれば普段とは異なる視点から景色を眺めなければなりません。
湖上に掛かるロープウェイとしては日本で唯一の「かんざんじロープウェイ」で「大草山展望台」へ赴けばいつもと異なる絶景を見渡すことが出来ます。↑かんざんじロープウェイと大草山
花浅葱(はなあさぎ)とは少し緑を帯びた鮮やかな青色の呼び名。
浜名湖の北東部に位置する内浦湾は湖面を花浅葱に染め周囲の変化に富んだ地形と調和しながら美しい景観を造り上げています。↑大草山展望台からの眺望(手前が内浦湾)
この舘山寺(かんざんじ)地区一帯は遊園地の「浜名湖パルパル」や「舘山寺温泉」などが併置される観光ゾーンとして訪れる人の心を躍らせてくれる事でしょう。↑舘山寺温泉門前通り
大草山展望台には「浜名湖オルゴールミュージアム」も併設されており、美しい景観だけでなく美しい音色も楽しむ事が出来ます。
一挙両得ですね(^^)↑浜名湖オルゴールミュージアム
オルゴールの起源はカリヨンにあるそうです。カリヨンは複数の鐘を組み合わせて旋律を演奏できるようにしたものですが、大草山展望台にもカリヨンが置かれており毎時0:00分になると美しい音を奏でます。↑大草山展望台のカリヨン
さて、「鐘」「音」と来たので、鐘の音で有名な場所を紹介しましょう。
それは中国江蘇省蘇州市姑蘇区にある「寒山寺(かんざんじ)」です。
寒山寺は中国の唐の時代(8世紀頃)の詩人・張継(ちょう けい)の「楓橋夜泊(ふうきょうやはく)」の一節で
『月落ち烏啼いて霜天に満つ 江楓漁火愁眠に対す 姑蘇城外の寒山寺 夜半の鐘声客船に到る』
と詠まれた世界的にも有名なお寺です。
近年では毎年大晦日に鳴らされる除夜の鐘を聞くために多くの日本人が除夜の鐘ツアーに訪れることでも有名になっています。
この鐘の音を聴くと10歳若返る。あるいは1回鳴らすと1歳若返るとも言われています。
だから皆さんツアーに参加するのかな?(^^;
ところで、寒山寺(かんざんじ)と聞いて「舘山寺(かんざんじ)と同じ発音だ」と思いましたよね?
舘山寺と言う地名は内浦湾の入り口にある小高い山の中腹にある舘山寺と言うお寺の名前に由来しています。↑舘山寺
そしてこのお寺としての舘山寺の名前の由来が寒山寺から来ています。
少しややこしいですね(^^)
舘山寺は空海によって810年に創建されたと伝えられており、当時この舘山寺を見た遣唐使の一員だった高僧が寒山寺に似ているとして名付けたと言われています。
舘山寺の本堂には「明治の鐘」と呼ばれる鐘が置かれているのですが、この鐘もまた寒山寺と大きく関係しています。↑明治の鐘
どのように関係しているのでしょうか?
寒山寺は唐の時代より何度も焼失しています。鐘は元々2つ用いられていたようですが清時代の末期の1906年に再建され際にこれら2つの鐘も鋳造されたとの事です。
その1つは中国で鋳造されたもの。もう1つは日本で鋳造されたものです。
ではなぜ日本で鋳造されたのでしょうか?
繰り返された寒山寺の焼失と共に焼失した鐘は寒山寺の再建の際に都度鋳造さていたようです。
その中で明の時代に鋳造された鐘は日本に持ち去られたと言う話が残っており、この話を信じた山田寒山という僧と初代内閣総理大臣の伊藤博文が探したのですが見つからず1905年に2人が発起人となり寄付を集め鐘を鋳造し寒山寺に寄贈したと言うわけです。
この時、伊藤博文は当時の舘山寺の住職との縁で舘山寺にも同じ梵鐘を贈りましたがこの鐘は第二次世界大戦時に拠出して消失してしまったとの事です。
ちなみに定かではありませんが伊藤博文は舘山寺以外に琵琶湖のお寺にも贈ったようです。また埼玉県のどこかに贈ったと言う説もあるそうです。
現在舘山寺にある「明治の鐘」は2006年に寒山寺と友好提携を結んだ記念として寒山寺に残されている鐘を基に復元したものです。
伊藤博文が関わっていたなんて意外ですね。
加えて舘山寺には寒山寺にある「楓橋夜泊」の詩碑の復刻石もありますから、寒山寺との深い繋がりを感じます。↑舘山寺の「楓橋夜泊」の詩碑
ところで舘山寺地区にはもう1つ寒山寺の鐘の複製が存在します。
どこにあるのでしょう?
答えは湖の上に伸びる浮見堂に置かれています。
こちらの鐘は伊藤博文が贈った鐘とは別の3メートル近くある鐘の縮小版となっています。↑浮見堂↑寒山寺の鐘の複製(湖の向こうに舘山寺)
残念ながら鳴らす事が出来ませんが触れる事は出ますので1週間くらい寿命を延ばす事が出来るかもしれませんよ(^^)
大草山展望台のカリヨン。舘山寺の明治の鐘。浮見堂の鐘。これらを何も知らず個々で見た場合、それほど興味の湧くものではないかもしれません。
しかし、途中で舘山寺温泉の足湯に浸かり、浜名湖名産のうなぎを食べ、それぞれの鐘を巡る事によりワクワク感が増すのではないでしょうか?↑水神松公園(すいじんのもりこうえん)の足湯↑うなぎ丼
個々にまつわる話を知り、点と点を結びつけて面で見る事により楽しみは何倍にも膨らむ事を舘山寺の鐘が教えてくれているような気がします。
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