『桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけたきび団子、一つわたしに下さいな~♪』
日本人なら誰でも知っている日本の昔話「桃太郎」!
物語の伝承は日本各地に散らばっていますが特に有力な発祥地の一つとされるのが岡山県です。
その伝説は鬼ノ城(きのじょう)を拠点にし、この地方を荒らし回っていた温羅(うら)という鬼を、第7代孝霊天皇(こうれいてんのう)の第3皇子であり、『日本書紀』では四道将軍に数えられる吉備津彦命(きびつひこのみこと)が倒したと言うものです。
この時に家来として共に戦ったのが犬飼健(いぬかいたける)・楽々森彦(ささもりひこ)・留玉臣(とめたまおみ)であり、この3人をそれぞれ犬飼健=犬、楽々森彦=猿、留玉臣=雉とする説があるそうです。
岡山県はこの説を押し「桃太郎発祥の地」として宣伝しています。
ところで家来の一人である犬飼健は犬養氏の始祖で、五・一五事件で暗殺された犬養毅(いぬかいつよし)首相の祖先であると言われています。ちなみに犬養毅は備中国賀陽郡庭瀬村(現・岡山県岡山市北区川入)の出身です。
そして桃太郎のモデルとなった吉備津彦命が主祭神としてお祀りされているのが吉備津神社(岡山市北区)です。吉備津神社の御釜殿の下には退治した鬼の首が埋められたと言う伝承もあります。
吉備津神社のみどころは日本で唯一の「吉備津造り」と呼ばれる様式で造られた社殿と総延長400mの長さを持つ回廊ではないでしょうか。
吉備津造りとは入母屋造(いりもやづくり:東アジアの伝統的屋根形式のひとつ)の2棟を1棟に結合した形態の建築様式のことで正式には比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)と呼ばれ、日本における神社建築様式の一つです。
ところで桃太郎と言えば「黍(きび)団子」ですね。そして岡山と言えば「吉備団子」が有名です。この二つの「きびだんご」実は直接関係ありません。
桃太郎の物語が一般的に広まったのは室町時代とされ、和菓子としての吉備団子が誕生したのは江戸時代です。
吉備団子は日清・日露戦争に於いて、対外戦争に鬼退治というイメージを重ね縁起の良い吉備地方のお土産として全国に名を知られるようになったと言う事です。
偶然とは言え吉備団子と黍(きび)団子を上手く活用した岡山が桃太郎発祥説で一歩リードと言ったところでしょうか?
イメージ戦略がいかに大事なのか桃太郎ときびだんごが教えてくれました(^^)
きびだんごをほお張りながら桃太郎伝説の残る吉備津神社へ参拝に行きましょう!