江戸時代も現代も旅行には必要不可欠な施設

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2013.08.03-100-1.00 Japan_湖西_旅籠紀伊国屋

旅籠(はたご)。現代で言えばホテル。旅には欠かせません。江戸時代の街道には宿場ごとに多くの旅籠があって旅の疲れを癒してくれました。

新居宿(静岡県湖西市。旧名「荒井宿」)は、東海道五十三次の江戸側から数えて31番目の宿場町。その中で最大規模の旅籠だったのが「紀伊国屋(きのくにや)」。

徳川御三家の一つ紀州藩の御用宿を勤めていた事から「紀伊国屋」を名乗る事を許されていたようです。現在は資料館として見学出来き、当時の様子を垣間(かいま)見る事ができます。

さて旅籠の料金はいくらくらいだったのでしょうか?

街道や地域によって、定められていたとの事。但し、食事の内容によって値段に差があるため1泊2食付きで200~300文が平均的な値段だったようです。1文=約20円と計算すると、1泊4,000円~6,000円。

現代のビジネスホテル並みといったところでしょうか。

時は文化・文政年間(1804〜30)。全国的な旅行ブームが訪れていました。そんなブームにのって道中記や案内記など旅のガイドブックが相次いで出版されました。

その中の一つが大ベストセラーとなった八隅蘆菴(やすみろあん)の『旅行用心集』。本の中には旅の注意点が網羅されているとの事。

紀伊国屋には『旅行用心集』に記載されている「道中用心六十一ヶ条」の中の現代でも通用すると思われる一部が紹介されています。

■旅籠に着いたらまず裏表の出入り口を確かめること(非常口の確認)。
■旅籠は賑やかで繁昌している店がいい。多少高価でもそれなりにいいことがある。
■荷物はできるだけ少なめに。荷物が多いと忘れ物をする。
■欲張りすぎるスケジュールは疲労のもと。
■旅先での飲食は控え目に。
■就寝の際には、翌日必要なものと不必要品を区別しておくこと。
■行った先での風俗や言葉が自分の住んでいるところとちがうからといって、笑ったりしてはいけない。口論のもとになる。言葉も習慣も違うのだから、郷に入っては郷に従え。
■宿で相客に、妙薬などを安く売ると勧められても買ってはならない。
■神社や寺、橋なのどへの落書き厳禁。
■旅の道中では、自分がしっかりとして、人を頼りにしないことを心がける。
■旅先で他人と相宿になっても、自分で充分用人していれば、何事も起こらない。

今回の記事はまさに日本旅行協会にふさわしい内容となりました。マナーやルールを守る事により旅行は益々楽しくなります。「道中用心六十一ヶ条」を頭の片隅に入れながら歴史旅行を楽しみましょう!

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